『オープン・ウォーター』最もリアルなサメの恐怖

最もリアルなサメの恐怖

作品情報

『オープン・ウォーター』(アメリカ/2004年/79分/原題:OPEN WATER)

監督:クリス・ケンティス
脚本:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラヴィス、ソウル・スタイン、エステル・ラウ、マイケル・E・ウィリアムソン

3.5

あらすじ

忙しい仕事を調整し、スキューバダイビングに訪れたダニエルとスーザン夫妻。2人がダイビングを楽しんでいる頃、船上ではマスクを忘れた客が他の客と再び、ダイブしたことで、人数のカウントがズレていた。しかし、スタッフがこのミスに気付くことはなかった。ダニエルとスーザンが海面に出た時には、乗ってきたボートは遠ざかっており、2人は広い海に置いていかれてしまう。

近くにいたボートに手を振るも、気付いてもらえず、時間だけが過ぎていく。置き去りになって、およそ2時間が経った頃、2人の近くをサメが泳いでいく。スーザンはクラゲに刺され、疲労も溜まり、眠ってしまう。サメにぶつかって、目が覚めると、ダニエルが居ないことに気が付く。同じく眠っていたダニエルとなんとか合流したところに、再びサメが近づいてくる。
自分たちを置いていったスタッフへの怒りが爆発したダニエルは海に向かって怒鳴り出す。スーザンは自暴自棄になったダニエルに冷たい態度をとってしまい、ダニエルは更に苛立つ。集合時間に遅れたこと、この日を選んでしまったことなど、どうにもならないことで言い争いが続いた。2人は争い疲れ、スーザンは酔いで嘔吐してしまう。助け合うことで信頼を回復し、スーザンが持っていたキャンディを2人で食べていたところ、ダニエルがサメに噛まれてしまう。持っていたナイフも落としてしまい、防衛手段は無くなってしまった。ベルトを巻いて、止血するが、サメはどんどんと増え、夜がやって来る。一方、ようやく2人がいないことにガイドが気付き、捜索隊が派遣される。スーザンは既に息絶えたダニエルを解放する。ダニエルはスーザンの目の前でサメに食われてしまう。周囲を泳ぐおびただしい数のサメを前に、スーザンは装備を外し、海に沈む。海にはスーザンが着けていたベストだけが浮かぶのだった。

おすすめポイント

実際にあった事件を基に、ドキュメンタリータッチで海に取り残された夫婦を描く。CGや機械式のサメは用いず、生きたサメを使用しているため、獲物に集まるサメのリアルな姿が捉えられている。特殊効果やBGMを最小限に留めることで、絶妙な緊迫感を生み出した技アリのサメ映画。

感想

リアル過ぎる恐怖

派手なアクションが魅力のサメ映画は数多くあるが、最も身に迫った恐怖を感じる作品は『オープン・ウォーター』だろう。冒頭、ビデオ画質の映像と意識的に演出されたカメラワークで嫌な予感がする。シンプルに低クオリティのインディーズ映画なのではないか?という予感だ。しかし、物語が進むにつれて、これらの前半戦は後半へのフリでしかないことに気付いていく。

夫婦が海に取り残されてから、意図的な演出は無くなる。360度見渡す限りの海と波の音だけが続き、徐々に緊張感は高まって来る。生きたサメを使用しているため、一撃で噛み殺されるようなことはない。獲物の様子を確かめるために、回遊し、小突き、仲間が集まって来る。盛大なパーティーのために、少しずつ食事の準備を進めるのは人間もサメも同じようだ。

衝撃的、だが納得のラスト

サメだけではなく、人間が衰弱していく様子もリアルだ。『JAWS』の劇中で語られたインディアナ号事件からもわかるように、海は寒く、酔いとも戦わなければいけない。常に気を張っていけない状況が続き、やがて、精神が壊れる。ダニエルが叫び、スーザンが無視をして、さらにそこにダニエルが嫌味を言うシーンは、夫婦喧嘩の流れとしてもリアルだなと感心するほどだった。

精神的に壊れてしまった人間がとる行動は他人を攻撃するか、自分を攻撃するかの選択になるが、スーザンの精神が壊れた時にはダニエルは居らず(既に死体になっている)、選択肢はなかった。この作品は実際の事件を基にしているが、事実では、夫婦は行方不明ということになっている。そのため、実際どのように亡くなったのかは明らかになっていないが、スーザンが静かに、海に沈むラストは、本当にそのように死んだのではないかと思わせる妙な説得力を持っていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました