『ロスト・バケーション』最悪の休日が教えてくれること

最悪の休日が教えてくれること

作品情報

『ロスト・バケーション』(アメリカ/2016年/86分/原題:The Shallows)

監督:ジャウム・コレット=セラ
脚本:アンソニー・ジャスウィンスキー
出演:ブレイク・ライヴリー、オスカル・ハエナダ、ブレット・カレン、セドーナ・レッグ

3.5

あらすじ

医学生のナンシーは、亡き母の思い出の地であるメキシコの名もなきビーチを訪れる。ジャングルの奥地にある人気の無い場所でナンシーは地元のサーファーと出会う。彼らとサーフィンを楽しみ、浜辺で休んでいるところに、妹から電話がくる。電話越しに、母のためにも医者になるよう説得されるナンシーだったが、母の思い出が過ってしまう。再び海に出たナンシーは身体を食いちぎられたクジラの死体を発見する。

波にさらわれ、ボードから落ちたナンシーはサメの襲撃に遭い、足を噛まれてしまう。クジラの死骸によじ登り、事なきを得る。帰り際の地元民に助けを求めるが、ナンシーの声は届かず、置いていかれてしまう。クジラの周りを不気味に泳ぎ回るサメから逃れ、近くの岩場に避難するが、岩場に生えていた火傷サンゴで足を切ってしまう。
持っていたネックレスを使い、傷口を縫合し休んでいるうちに夜がやって来る。ウェットスーツで圧迫止血をしたナンシーは身体を歩き回るカニを食べるが、吐いてしまう。ナンシーは遠くに浮かぶサーフボードと静かに浮かぶクジラを確認し、サーフボードまで泳ぐ決心をするが、傷口が開き、また岩場に戻ってしまう。絶望するナンシーだったが、砂浜で酔いつぶれた男を発見する。男はナンシーに気付くが、ナンシーの荷物を持ち去ってしまう。さらに、男は浮いていたサーフボードまで盗もうとするが、サメの餌食になってしまう。昼になり、一緒に泳いだ地元の青年が戻って来る。サーフィンを始める2人に危険を報せるナンシーだったが、2人はあえなくサメの餌食になってしまう。強烈な日差しが体力を奪い、満潮が近づく。サメの周回するタイミングに規則性を見出したナンシーは、青年が身に着けていたカメラを取りに向かう。サメの攻撃をギリギリでかわし、カメラを回収する。カメラに遺言を残したナンシーは近くに浮かぶブイまで泳ぐ決意をする。共に岩場で過ごしたカモメの脱臼を治して、別れを告げ、ナンシーはブイに向かって泳ぎ出す。クラゲに紛れてサメから身を守り、ナンシーはなんとかブイに辿り着く。ブイに備えられた照明弾を打ち上げるが、一発は不発に終わり、もう一発撃つが、船は気付かなかった。だが、浜辺で遊んでいた子どもがナンシーの遺言を再生し、助けを呼びに行く。一方、クジラの油が海面に浮かんでいることに気が付いたナンシーは照明弾を使い、サメを燃やしにかかる。逆上したサメはブイを破壊する。錨の重みに身を委ね、海底に潜っていくナンシー。それを猛追したサメは海底の錨に刺さり、絶命する。ナンシーは助けを呼んだ子どもの父親に発見され、九死に一生を得る。浜辺にはナンシーの助けたカモメが待っていた。意識がもうろうとするなか、ナンシーは母親の幻覚を見る。1年後、医者になったナンシーは地元テキサスで妹と一緒にサーフィンをするのだった。

おすすめポイント

母の死によって塞ぎ込んでいた医学生が、サメとの戦いで人生を見つめなおす荒療治サメ映画。監督は『エスター』(2009)や『フライト・ゲーム』(2014)など、ホラーやアクションを得意とするジャウム・コレット=セラ。緊張と緩和の連続が観る者の心をザワつかせ続ける。

感想

最悪の休日というジャンル

映画には”最悪の休日”というサブジャンルがある。キャンプに行ったら殺人鬼が居たり、家族旅行で離婚の危機に陥ったり、そのシチュエーションは様々だ。このジャンルはサメ映画と相性がよく、何故か海に行くと良くないことが起きてしまう。そして、大抵の場合、休みを楽しむモブキャラが冒頭で食われるところから始まる。

『ロスト・バケーション』もこのジャンルに属しており、母との思い出に浸りに来たナンシーを最悪の休日が待っている。序盤はGoproを使ったダイナミックな映像でサーフィンを楽しむナンシーのテンションまで伝わって来る。一方、後半は獲物を狙うサメの如く、岩場でナンシーが弱っていく様子を覗き見ることになる。医学生ならではの知識で裂傷を縫合するシーンはあまりに痛々しい。

最悪な休日≒悩める主人公の荒療治?

地元の若者が気持ちいいほどキレイにサメの餌食になったり、希望の照明弾が無慈悲にも数m先に落ちてしまったり、監督のノリノリの演出で、ときおり笑える時間が来るのだが、やはり見ている側にとって嫌な時間が大半だ。

”最悪の休日”に眼を閉じたくなる絶望の時間はつきものだが、本作では最後に希望を残してくれる。サメとの壮絶なバトルに生き残ったナンシーは、母親の死を受け入れ、医者になる。最悪な休日は、長いスパンで見れば、人生を前向きに捉えるために必要な経験なのかもしれない。かなりの荒療治、かつ生き残ったから言えることではあるけれど、映画も現実も長い目で見ることが大切だ。

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