【FILM REVIEW】『海底47m』“海底もの”の登場

『海底47m』

海底ものの登場

作品情報

『海底47m』(アメリカ/2017年/90分/原題:47 Meters Down)

監督:ヨハネス・ロバーツ
脚本:ヨハネス・ロバーツ
出演:マンディ・ムーア、クレア・ホルト、マシュー・モディーン、サンティアゴ・セグーラ、ヤニ・ゲルマン

3.6

あらすじ

妹のケイトと一緒にメキシコまでバカンスに来たリサ。唯一の幸せだった彼氏に「退屈な人」という理由で振られ、傷心だったが、ケイトの誘いで、夜の街へ遊びに出かけ、地元の青年と知り合う。翌日、青年達の勧めで、8m級のサメが見られるというスポットまで向かう。リサは嫌がっていたが、ケイトに懇願され、渋々ケージに入ってシャークウォッチングを始める。

しかし、サメはケージを破壊しにかかる。ケージの中ももはや安全ではなく、酸素の残量も無くなり絶望的な状況になる。そこへ、地元の青年ハビエルらしきライトが見える。動きを見せないハビエルを捜しに、リサはケージの外に出る。サメの攻撃をかわしつつ、底の見えない海を泳ぐリサ。ライトを回収し、ハビエルと合流したのも束の間、サメの襲撃でハビエルは命を落とす。ハビエルの持ってきたケーブルをケージに取り付け、引き上げ作業が始まる。ついに助かるかと思った次の瞬間、ケーブルが千切れ、2人は再び海底まで落ちてしまう。その上、リサの足がケージに挟まれ、身動きが取れなくなってしまう。酸素も僅かとなったところで、追加のボンベが投下されるが、長時間の酸素ボンベの使用は窒素酔いのリスクをともなっていた。ケイトは投下されたボンベを回収し、ケージに戻ろうとしたところをサメに襲われる。酸素もなく、独りになったリサは覚悟を決め、傷を負いながらも近くに落ちていた酸素ボンベを回収する。そこへ、ケイトからの無線が入る。深傷を負いながらもケージから脱出し、瀕死のケイトを抱えて、決死の浮上を始めるリサ。発煙筒でサメを追い払い、攻撃を受けつつもなんとか船に引き上げられたリサとケイト。助かったことに喜ぶリサだったが、空中に自分の手から出る血が浮き出ていることに気がつく。リサは窒素酔いによる幻覚を見ていた。目が覚めたリサのもとに沿岸警備隊が到着する。

おすすめポイント

メキシコでのバカンスが最悪の休日に!ケージ、酸素、そしてサメ。逃げ場のない海底47mから生き残れるのか!?衝撃のラストも見逃せない!

感想

新たなシチュエーション”海底もの”

タイトルにもあるとおり、本作は水深47mでの恐怖を描いている。基本的に水上、海面での戦いがメインだったサメ映画に新しいシチュエーションを取り入れたのが、本作の特徴だ。

このシチュエーションが発明だったのは、サメの恐怖だけでなく、暗闇や、潜水病など、海中ならではのギミックが追加出来たことだ。恐怖演出上、暗闇は必須とも言える要素であり、発煙筒を使ったショットは芸術的の域に達している。

また、この映画で初めて、”窒素酔い”という現象を知ったが、作劇上これほど効果的に使われている例はないだろう。いわゆる””衝撃のラスト””であり、『インセプション』(2010)のような視聴者に委ねるラストをサメ映画で見られるとは驚きであった。

“海底もの”を俯瞰する

危機から脱するために、”浮上”が伴うのも、この”海底もの”の特徴だ。映画的にクライマックスに向かって人物が上に登っていくとテンションが上がる。好例は『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)だ。

本作は、”最悪の休日”要素も追加されている。海底から脱出するため、浮上するリサの姿は、「退屈な自分」からの脱出という物語上のテーマとも重なり、説得力のある構造になっている。

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